口先が尖っているので、グシッグシッと咳をします。くしゃみかもしれません。咽喉が痛いらしく、声がでません。
早速、病院へ行くのですが、此処、数日通ってみたものの、一向に良くなる気配がありません。
母が、子ども達が赤ん坊の時に作ってくれたお布団に寝かしています。
元気な時なら、直ぐに這い出すところなのですが、よほど、具合が悪いらしく、おとなしく寝ています。
子どもだからでしょうか。食欲はとてもあります。助かります。
猫は、毛穴という毛穴から、びっしりと毛が生えているので、汗をかけないのがかわいそうです。
子どもながらに思うのでしょうか。それとも本能なのでしょうか。
はじめに、雪丸君の様子がおかしいのに気付いたのは、その姿が見つからなかったからでした。
名前を呼んでも、キャットフ-ドのカンカンを鳴らしても冷蔵庫のドアをパタンパタンと開け閉めしても出てこないのでした。
家中を徹底捜査したところ、雪丸君は、コピ-用紙の箱の中でくたりと丸くなっていました。
おそらく、体調の緊急事態に本人も驚いたことでしょうが、自発的なひとり隔離を決め込んだに違いありません。
普段仲良しのトムちゃんが傍に行って舐めようとすると、顔を背けるのでした。
食事も、屈んでの猫スタイルでとるのも、たぶん、その匂いも具合が悪くなるらしく、
そして、食事となると猫たち全員集合になってしまうので、すっとお皿から離れて、部屋の隅でしょんぼりしています。
食べたいのに食べれないジレンマは、とても悲しい事をとてもよく知っています。
さて、如何したものか、、。「そうだ。」と思い出したのは、乳粥でした。
900年ごろ、宇多天皇の寵愛を受けた猫は毎朝「乳粥」を食していたというのであるから。
甘酒を造った残りのもち米で作ってみたところ、これが、より滑らかで、雪丸君にも美味しいらしく、
咽喉と腎臓は繋がっていて、咽喉に熱を持つと腎臓や肝臓が弱るとお医者さんに言われました。
時々、空に向かって「はお、はお」と音にならない声で鳴いています。
きっと、咽喉が錆び付いたように苦しいのだ思います。
生まれて一年も経っていない雪丸くんですが、「絶対、大丈夫。」と信じています。
友人の猫ちゃんが脊椎に癌が出来て下半身が麻痺したと聞いたばかしでした。
友人は、彼の痛みや辛さや驚きを軽減する為に、あらゆる努力をしています。
雪丸君の辛そうな様子に、友人と友人の猫ちゃんの痛みを全身に感じています。
世界中が元気を失くしたような様子を、代わって、猫たちが一身に受け止めているようで辛くなります。