徒然なるままに
 
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猫じゃれ草
第5回

 トルシエ監督が、その尊敬されるべき才をジワリジワリと見せ付け始め、ミルクティ のおいしさにホッとする絶好調の秋である。

 徒然なるままに、読書の秋に思い出す事。

 「猫が大好きだ!」と叫べる人は、一度ぐらいご経験がおありだろうと思う。「猫」というひと文字に惹かれて本を買ってしまった事。しかし、読めども読めども「猫にまつわるエピソ-ド」が出てこないなんてこと。

 まさに、私の場合の決定版は、<村上春樹「うずまき猫のみつけかた」新潮社 ¥1、800>であった。ただし、「うずまき猫のみつけかた」の名誉のためにおことわりしましょう。タイトルカバ-には、猫の絵が描いてある。そして、随処随所に文章とは無関係に猫のスナップ写真が載っている。そして最後に、「うずまき猫」ではなく「ピ-タ-と名づけられた茶トラの猫を独身時代に飼うが、結婚して友人に預ける。しかし、そして彼は森の中に消えていく」というお話が、本当に、タイトル上申し訳なさそうに載っている。

 読みはじめの頃、騙まし討ちにあいそうな予感はあった。同じ村上さんでも「村上龍文学の深さ鋭さが好きだ」の私は、せっかく買ってやったんだから「早くうずまき猫をみつけたお話を出して」と祈りつつ、

「村上さんのアメリカで朝から晩までどう暮らすなんて、興味が無いの」
「だったら、うずまき猫に出会ったお話とか」
「何だったら、見かけたってお話でも好いから」
「こうなったら、作り話でもいいから」
「++++やられたな+++」

 こんな具合に、ストレスを高めながら、渋々一気に読み終えた私に残ったものは、大いなる脱力感と雑誌で見かけた事のあった村上春樹さんの晴れ晴れとした笑顔であった。

 そもそも、私の側に問題が決して無いわけではない。文明堂のうずまきカステラを両脇に1個ずつ持ち歩くA・ショ-トヘアブラウンクラシックタビ-の種の美しさに圧倒されている事にある。遼に猫らしくワイルドで、そして、伝統美がある。なのに、しょってない元気っぷりの愛らしさの妙が最高なのである。(私のタイガー IS=NESS5を見て!)そんな訳で「うずまき猫」に目がくらみ、期待に胸膨らました私にも多いに問題があるのである。

 この頃、欧米スタイルの本屋さんが増えてきた。立ち読みできるように椅子が置いてあったり。(?)池袋には、お茶を飲みながら中身を確認できる本屋さんもある。これはありがたいシステムであるが、私のような者は、そうであっても「猫?!」となるとレヂに直行するだろう。不安は否めない。泣き笑いの性である。

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「猫」おすすめ本
「センチメンタルな旅 冬の旅 荒木経惟」
新潮社¥2,800(税別)

所々文章も載っているが、それ以上に写真が語る。最後の雪の風景を走るチロさんの1点は、これだけでも「大満足!」と思える。

 愛するお母さんをなくした悲しみとそのお母さんへの愛しさにに困惑するチロさんの心がたまりません。お母さんにはなれないお父さんの荒木経惟写真家の切ない位の優しさと清さに溢れています。

 絵を描くとき、思いより技量が勝っちゃ如何と思っています。技量の先のところで描けなきゃ如何と思います。写真もそうなんですね。表現者の必要不可欠の最も重要な才能は、「人間性なのだ」と確信します。