徒然なるままに
 
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猫じゃれ草
第49回

中秋の名月は、良いですね。
狼男の逸る心が解かる気がします。
本当に、真ん丸に黄金色に輝いて、眠るのがもったいないので、
画室の床にお布団を敷いて広く窓を開けて、月の動向を見張りながら寝ています。
天井に、窓のサンや何やらが光を区切った様子は、何だか幸せな気分になります。
十五夜の日には、お団子をこさえてススキと萩の寄せ植えをこさえて、
梨や柿に、お芋と垣根代わりの巨峰を混ぜて盆に盛りました。
猫達には、マグロの大きな柵を切ってあげました。
「毎日が十五夜だと良いのにね。」
こんな具合に、月夜が嬉しいのは猫達も同じです。
月の光に照らされた家の中を、猫達は走り回ります。
このところ、ずいぶん年を取ったタイガ-までが飛んだりはねたりして楽しそうです。
足がよろよろと震えるようにして、やっとの思いで歩いているのに、
走るときは勢いよくあまりに力強いので、魔法がかかったかと勘違いしてしまいます。
月に喜んで跳ねるのは、兎ばかしではない。
私の家では、猫達が跳ねているし、
きっと、知床のススキの原っぱでは狐がはねているでしょう。
桂林の南の山のてっぺんでは、たぶん、虎が跳ねていると思う。
きっと、月の光で輝くおぼろ雲が大きな水の白波のように輝くものだから、
記憶のずっと奥の方の、ノアの箱舟に乗船したときの感覚が湧き上がる。
思いをひとつにして、大きな荒波をひとつふたつと飛び跳ねて嵐を乗り越えた喜びの感情。
タイガ-の気合のこもった嬉しい気持ちの良い気分が、絵になっているようです。
それで、私の目も脳ミソも爛々としてしまい、ますます眠っちゃいられなくなります。
徒然なるままに。






去年の夏、桂林の画家の黄さんと武さんが10日間ほど家に泊まりました。
「出町さんの猫達は、夜、寝ないんですか?」